CDリッピングの検討

 CDの音楽情報をパソコンのCD/DVDドライブを使ってリッピングしてハード・ディスクに貯めておき、
パソコンの高級なオーディオ・ポートから再生した方が、CDPから再生するより音が良いという説と、
CDPから再生した方が良いという説とがあります。
 リッピングの方が良いという説の裏づけは、CDにはディジタル情報で記録されているので、
パソコンのCD-ROMから計算機プログラムやデータと同じように読むのだから、CDPで読むときのように
補正しまくってデータが変わってしまう筈がない(すなわち、エラー・フリーである)、ということだろう
と思われます。しかし残念ながら、オーディオCDとCD-ROMのフォーマットは同じではなく、
音楽CDリッピングは100%正確ではないということです。
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20010319/dal02.htm

 それでは、実際にどれ位のエラーがあるのか、いくつかのCDのリッピング・ツールを使って
CDの音楽情報を.wav形式のファイルとして吸い出し、ファイルの長さを比べてみました。

調べた項目
1) リッピング・ソフトの違い(WindowsMediaPlayer はwma で吸出し、Wavelab でwavに変換)
2) CD上のトラック位置による違い(最初#1、中央#12、最後#23)
3) ドライブの回転数の違い(回転数の設定ができる WaveLab5 のみ)
4) ドライブの違い(マシンの異なるDVDドライブとCDドライブ,CDドライブでは2つのソフトのみ)
1),〜3) では、同じ条件で3回吸い出してみて、回による違いがあるのかを調べました。
使ったCDは、ONZOW Labo イエルク・デムス 月影の寺に弾く ONZ-102 (Pure Gold CD)
(トラック#1,#12,#23)

ドライブ:HL-DT-ST DVD RAM GSA-4120B        
何回目→ 回転数   1〜3回同じ    
 ソフト                曲名→ #1 #12 #23  
WaveLab5 ×16 35,367 18,545 32,779  
  ×24 35,367 18,545 32,779  
  ×40 35,367 18,545 32,779  
GoldWave v.5.14 ×40 35,529 18,541 32,965  
DigionAudio2 v.2.21 ×40 35,529 18,541 32,963  
B'sRecorderGold v.8.10 ×40 35,529 18,541 32,965  
WindowsMediaPlayer v.10.0 (wma→wav) ×40 35,533 18,545 32,967 ←これだけ1回のみ
         
         
ドライブ:CD PlexWriter 40/12/40A          
何回目→ 回転数   1〜3回同じ    
 ソフト                曲名→ #1 #12 #23  
GoldWave v.5.06 ×40 35,529 18,541 32,965  
B'sRecorderGold v.3.19 ×40 35,529 18,541 32,965  

結果は、表のとおり。
1.ソフトが同じなら、CD上のトラック位置に拘りなく、3回の読み出しともファイル長が同じ。
  ソフトのversion,マシン,ドライブの種類(DVD-RW, CD-RW)に関係なく同じ。
2.回転数を設定できるソフトWabeLab5では、回転数の違いに関係なくファイル長は同じ。
3.ソフトによりファイル長に違いがあるが、efu氏のWaveCompareを使って比較すると、
  殆んどの場合、[一致しました]が表示されるし、一致しない場合も、比較開始点:
   ゼロをスキップを設定すると、[一致しました]が表示されるので、音楽データそのものは
   全ての条件で違いが無いと思われる。

ソフトによるファイル長の違いは、ヘッダ部分が異なるためだと考えられる。
実際、バイナリ・エディタを使って各ソフトが出力したwavファイルのヘッダを比べると、明らかな
違いがみられる。

.wav形式(Format)は、RIFFフォーマットの1つです。
http://www.kk.iij4u.or.jp/~kondo/wave/
   この中で引用されているWaveToolsは、現在↓にあります。
   http://mda.smartelectronix.com/utilities.htm
http://www.sonicspot.com/guide/wavefiles.html
http://en.wikipedia.org/wiki/WAV

バイナリ・エディタ
TSXBIN
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se094825.html

これにはオーディオ・ファイル(RIFF format)のヘッダーをシンボル表示するプラグインがある。
TSXBIN Macro for Riff Formatted Files
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se120155.html


  tsxrm11.lzh を展開して WAV.SYM を TSXBIN 同じフォルダ(tsxbn400)に入れる。

  ファイル→シンボル読み込みで WAV.SYM を指定して、サイズ:[SYMBOL],型:[HEX}のボタンを
  クリックすると、
ヘッダがシンボル表示される。


今回の結果からは、\2万弱の高級CD/DVDドライブを使ってCDをリッピングし、ハード・ディスクに蓄えておき、
高級オーディオ・インターフェイスから出力すれば、高級CDPと同等以上の高品質の再生ができると思われる。
CDPから再生した方が良いと言っている人は、使っているオーディオ・インターフェイスが良くないのでは
ないか?
線速度一定(当然内周と外周とでは回転速度が違う)で再生するCDをイナーシャの大きいターン・テーブル
に乗せて回転させ、音が良いといっている高級CDPなど信用しない。

ドライブ・オフセット
CDを読み出すとき、頭のデータが欠けるらしい。そのサンプル数はドライブ毎に一定になる傾向があるらしい。
その値をCD Drive Offsetという。
計算機で書いたCDをリッピングして読み出し、もとのデータとサイズを比べる。詳しくは、
http://www.accuraterip.com/
ドライブ毎のデータは
http://www.accuraterip.com/driveoffsets.htm
にある。